準決勝では全員を抜いてゴール
──決勝が22日に控えていますが、buen cambio yokohamaにとって、齊藤選手にとってこのアクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権はどんな大会ですか?
齊藤悠希(以下、齊藤) チーム創設以来、日本一を目標に活動してきて、目標達成まであと一つというところまで来たので、優勝したい気持ちが強いです。過去に準優勝が2度、ベスト4が1度あるのですが、あと一歩、二歩のところで結果が出ませんでした。
チームは今年で「11」年目を迎えました。創設者の落合啓士監督がチームでつけていた背番号は「11」。この「11」という数字はチームにとって重要だと個人的に思っています。「11」年目という節目で決勝に上がることができたので、今大会は必ず優勝したいという気持ちが強いです。
──落合さんは松本山雅 B.F.C.で、目が見えないなかで監督をするというチャレンジをされています。
齊藤 そうですね。この大会の初戦がおっちーさん率いる松本山雅 B.F.C.でした。その試合に勝つことができて勢いがつきました。何か縁を感じますし、11年目で決勝へ行けたことも運命を感じるので、一層優勝したいと思っています。
──今大会のbuen cambioの戦いぶりを振り返って、チームの状態などはいかがでしょうか?
齊藤 これまでは僕が中心となってやってきました。以前なら相手のエースや要注意人物を僕が見ていましたが、今は全員に任せられるくらいにみんなのレベルが上がっています。チームメートは大変だったと思いますけど、みんなが頑張ってエースを抑えてくれました。チームが一丸となって戦えていると思います。
──チームの底上げが上手くできているという感覚?
齊藤 そうですね。2年前におっちーさんがチームから離れ「僕がおっちーさんの代わりをしなきゃ」と思っていましたが、なかなか上手くいかない部分が多かったです。
自分にはまだまだ足りない部分がありますが、そこをチームメートに上手く任せることができたと思っています。だからこそ自分が自由に動けるようになって、その結果、チームメートも自由に動けるようになる。良い相乗効果が生まれていると思います。
──準決勝ラウンドで決めた齊藤選手のゴールがTwitterで話題になっていました。GKを抜き去って決めていましたが、これはよくあることでしょうか?
齊藤 ないと思います(笑)。
──どんな感覚であのゴールを決めたのでしょうか?
齊藤 自分自身はGKを抜いた感覚はなかったです。ピッチの風が強くて空間把握が難しく、ガイドの位置がわからない状況でドリブルをスタートしました。
ほとんど感覚で相手を抜いていました。ガイドの位置がわかったのですが、自分が思っていた位置よりもズレていて、GKとシュートコースが被っていました。
「ここで打っても入らないな」と思って「中に動いて、コースを作って打たなければいけない」と切り替えました。相手のGKはシュートコースを消していましたし「打つしかないだろう」と思っていたはず。そこでギャップが生まれてGKをかわすことに繋がったのかなと。
──ディエゴ・マラドーナの5人抜きのように何人も抜いてゴールが決まるのはブラインドサッカーの一つの魅力ですよね。
齊藤 そうですね。サッカーでは、カウンターの場面などでごぼう抜きする場面はありますが、珍しいと思います。ブラインドサッカーではああいうプレーがチャンスになると思います。
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